第四話「風見さんはボディーガード5」 ページ20
「…風見さん、話終わった?」
会計を済ませた彼女がいつの間にか隣にいた
気が付かなかったため一瞬驚いてしまう
『は、はい…』
き、気を取り直して
『次の買い物の前に一度、上のフロアにでも行きませんか?』
降谷さんからの指示に従い、彼女へ提案する
「…そうだね、零くんの邪魔したくないし…なんか疲れたから上のフロアにあるカフェで休みたい」
『分かりました、行きましょう』
彼女は勘が鋭いのか、察しがいいのか意外にも素直に聞き入れてくれた
聞き分けがいいのは願ったり叶ったりだが…
「……」
『何か飲み物を買ってくるので席で待っていてください』
「…分かった」
エスカレーターで上のフロアへ行き、すぐ側にあったカフェに入る
奥のソファー席に彼女を誘導して、飲み物を注文しに行く
少し顔色が悪かったな…降谷さんのことを心配しているのか不安そうにしていた
『夏音さん、ココアです』
温かいココアを頼み、彼女が座る席へと持っていき手渡す
「…ありがと、風見さん…」
弱々しい声で彼女は答える
『お気になさらず、まだ時間はありますから落ち着いたら買い物を再開しましょう』
「……」コクンッ
彼女は心を病んでいる
学生である彼女をわざわざ公安である自分が護衛しているのは
降谷さんの精神面を支えているのが彼女だからだ
降谷さんは公安の捜査官として、そしてこの国のためにも彼女の支えがこれからも必要だ
しかし、彼女は心が不安定になりがちで周囲からの支援がなければ、過去には食事すら疎かになったほどで気に掛ける必要があるのだとか
故に、降谷さんが仕事などで側を離れざる負えない際に一人にさせないようにと護衛任務が出る
彼女の心が安定し、正常に戻らない限り
これからも降谷さんは彼女に対して、過保護に見守り続けるのだろうな
第四話「風見さんはボディーガード6」→←第四話「風見さんはボディーガード4」
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作者名:クラウ・ソラス | 作成日時:2023年8月5日 22時