未完成のPiece7【アイナナ】 (ページ9)

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こけら落としから暫くして、
お仕事はびっくりするくらい絶好調だった。
…まだ歌えないところ以外。

『本日もよろしくお願いいたします』

お兄様とのドラマもいい視聴率を出しているようで、
撮影の雰囲気も悪くはなかった。

「そんなににこにこして、
何かいいことでもあった？」

ドラマの衣装でだぼだぼの服を着たユキがやってきた。
そんなにニコニコしていただろうか…？

『世界平和だなって』

「なにそれ」

『ユキが聞いてきたんでしょ』

そうね、と軽くあしらわれてしまったが、
悪い気はしなかった。

「Misson、出ないの？」

『サブスクのドラマで手一杯なんだよね』

「あれ、あけぼのテレビなのに断ったんだ」

『あと2か月はスケジュールいっぱいなの。
…最後らへんの通行人Dくらいなら出れるよ』

「それじゃあ意味がない」

そんな話をしていると、
メイクが終わったお兄様がやってきた。
きちっとした服装が昔のお兄様を連想させる。

『おはようございます』

「おはようございます。」

「君たちよそよそすぎない？」

『これくらいでいいんです。』

こんなやり取りをしていると、
撮影の準備ができたようでスタッフからお呼び出しされた。