未完成のPiece7【アイナナ】 (ページ30)

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「大丈夫だった？」

『要件は？』

万さんを見つけるなり、
心配していたがそれをも聞き流し要件を催促すると、
ため息交じりに会議室へ案内してくれた。

「これ、」

そう言ってイヤホンを渡してくる万さん。
動画なの…？と疑問に思いながら耳につけると、
音が鳴り響いた。
それが春樹の作った曲だということはすぐにわかった。

サウンドはとても素敵だったが、
歌詞に違和感を覚えた。

最後まで聞き終わると、万さんは歌詞カードを渡してくれた。

「IDOLiSH7の1周年をお祝いしての曲だよ。
みんな気に入っていて、
Aちゃんにもってみんなから預かったんだ。
…最近元気ないの？」

『そんなことないよ』

そんな会話をしながら歌詞を眺めていると、
先ほどの違和感は確信へと変わった。

一週間後の二文字を並べると、
【サクらはるキをひとじちにしたからいうコトきけ】

桜春樹を人質にしたから言うこと聞け＿＿＿

その文字を見た途端、思考が停止する。
人質、ってどういうこと？

兎に角春樹が危ない、ということは分かった。
私にできる事は…？
そもそも彼がどこにいるかもわからないのに？

この曲をどこまで信用していいのかは分からないが、
まずは行動に出てみることにした。