未完成のPiece7【アイナナ】 (ページ24)

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『で、どこ行くの？』

「内緒」

傍から見たらただのカップルに見えるのだろうか
ユキが運転し、助手席には私。
そういえば何気にユキが運転する車、初めてかも。

少し緊張しながら外の風景を見ていると
ユキが口を開いた。

「これ使って何とか別人にして」

差し出されたのはメイク道具。
…大量なんだけど、これどうしたんだろう。

そう思いながらとりあえず下地を塗り始める。

「理想は僕みたいな感じ。妹っぽくしてよ」

『それ、完全にユキの趣味だよね？』

「まぁまぁ、これからバイオレットの初収録なんだから」

『…はい？』

「安心して、僕しかいないから。
ちなみに万にはAが一人でレコーディングすることになってるから」

『万さんと連絡できたんだ…』

「事務所に電話した」

『強行突破…』

万さんがこの前毎日ユキから連絡くるって悩んでたんだけど、
着拒のアドバイスしたの私なんだよね…。
事務所にかけてくるとか、どんだけ万さんのこと好きなんだ…？

そんなことを考えながらメイクを進めた。

「着いたよ」

メイクが終わったとほぼ同時に目的地に着いたようで、
ユキがやっと此方を向いた。

『そんなに固まって…変？』

「いや、思ったよりも高クオリティ」

『ほめてる？貶してる？』

「褒めてる」