未完成のPiece7【アイナナ】 (ページ21)

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『で、何の用？』

早くこの空間から解放されたい気持ちから
要件を手短に聞くことにした。

「昨日、何かありましたか？」

『別に』

「××がAのヴァイオリン壊したって…んぐぐぐ」

一織が必死に環の口を塞ぐ
…なんだ、この2人は知ってるのか。
なら、隠してもしょうがない

『壊れたよ、見る？』

意外な反応だったようで一織は固まってしまった。

昨日から開けていないヴァイオリンケースを開くと、
そこには原型を留めていない木だった何かが露になった。

「うわ、木っ端微塵」

『これが要件ならもういい？』

早く2人を返そうと声をかけると今まで無言だった一織が口を開いた

「早く訴えましょう。証拠なら私が」

『もう、いいの』

「でも…」

『訴えたところでこのヴァイオリンは戻らない。
それに、訴えればきっと週刊誌が黙っちゃいない』

「このままじゃAが傷ついたままじゃんか」

『訴えるとか、賠償だとか、そんなんじゃ足りない。
＿＿もっと精神的に追い詰めなきゃ』

私の言葉に再び固まる2人。

今すぐじゃなくてもいい。
必ず、上に這い上がって、彼女たちを突き落とすんだ。