未完成のPiece7【アイナナ】 (ページ18)

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「Aさん、ですか？」

あのやり取りを見た後、
しばらくぼーっとしていると
聞きなれない声が聞こえた。

振り返ると色白の肌にベージュの髪。
こんな美少年、知り合いにいたっけ…

記憶をできる限り漁るが答えは見つからなかった。

「ふふっ、すみません。
私は棗巳波といいます。」

『どこかで、お会いしたことありましたっけ…？』

疑問をぶつけると、かえってきたのは意外な答えだった

「少し前までノースメイアにいたんです。
昔、あなたのヴァイオリンを聞いたことがありまして」

『存じ上げず申し訳ありません』

「いいえ、今度是非また聞かせてください」

『はい』

それから少し上辺の話をして棗さんとは別れた。

終始ニコニコしていて何を考えているのかわからなかったが、
ノースメイアでのことを知っているなら警戒しなければいけない。

あの時はまだ、あの家の人間だったから。

『モモ？』

気分転換のために飲み物を取りに行くと、
そこには浮かない顔をしたモモがいた。

「…あ、A、
どうしたのかにゃー？」

何なんだ今の間は…。
モモも意外とわかりやすいタイプなのでは…？

『何かあったの？』

「んー？何のこと？」

この人、しらばっくれる気だ。

『あのツクモの社長の弟に何か言われたの？』

ツクモの名前に一瞬方が揺れたモモ
本当にわかりやすい。

「な、なんにもないよ～。
今度焼肉食べに行こうって誘われちゃってさ」

モモちゃん本当にモテちゃって困っちゃう、と冗談を言える程には回復したようだった。

『私、あの男の人嫌い』

「うん、Aは必ずオレたちが守るから」

『それって、どういう＿＿』

意味深な言葉を吐いたモモに問いただそうとしたが、
モモの顔を見てそれ以上聞くのはやめた。

モモのそんなに悲しい顔、
始めてみた。