未完成のPiece6【アイナナ】

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『え？イギリスに…？』

「そう、イギリスで開催されるヴァイオリンコンテスト、
Aちゃんに出演してほしいって関係者から連絡が来たんだ」


今日も今日とて事務所に遊びに来ていた。
遊びといってもスケジュールの打ち合わせだったり、
今後のお仕事について万さんと話しに来たんだけど。

そこで冒頭に至る。
万さんがイギリスでのコンクールを提案してきたのだ。

『うれしいけど、今日本を離れるのは…』

「アイナナちゃんが気になるのかい？」

『…万さんは何でもお見通しってことね』

ここ最近、アイナナちゃんの中に亀裂が見えている。
以前のようにみんなってわけじゃないんだけど、
主に一織と七瀬さん、それと三月さんもなんだか最近浮かない顔をしていることがある。

原因を直接聞いたわけではないが、
この業界でのお話ってよりかはそれ以外からの攻撃だと思う。
ここ最近はテレビ局にも少し出入りすることがあり、
そこでは前みたいにあからさまに噂をしている様子はない。

と、言うことはきっとそれ以外、
ファンからの意見についてだろうという勝手な予測。

先輩なんだし助けてあげないと、とは思うものの、
きっと荒れているのはネットであって、
私はもうそこには足を踏み入れないと決めている。

だから今のところただただ見ていることしかできないのだ。

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