未完成のPiece6【アイナナ】

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『もうすぐこけら落とし公演だね』

「うん、そうだね」

『お兄様は心配？』

「…なにを？」

『ゼロがめちゃくちゃにするんじゃないかって思ってる？』

「…正直、わからない。
まだ落書きの犯人は分からないままだ」

やっぱり、心配だよね。
ここは一言、先輩から励ましておくか

『そんなお兄様におまじない。目閉じて？』

「？こう…？」

頭にそっと手をのせて、優しくなでる
昔は圧倒的にお兄様の方が背が高かったが、
今はほとんど同じ身長だしやりやすい。

『大丈夫、大丈夫。
…もういいよ』

「ちょ…」

顔を赤くするお兄様。
さすがに20超えてこれはきつかったかな…

『じゃ、おやすみなさい』

「…うん、おやすみ
…ありがとう」

『うん』

ここ最近お兄様とは普通に話せている気がする。
反抗期も終わりに近いのだろうか…？

誰もいない3階に上がり、
ベットに横になる。
目を閉じればすぐに寝られそう。

と思ったが、こだまのように声が聞こえてきた。

"ずっと応援してるよ。"
"Aちゃんも応援してるから…"
"Aとまた、同じステージに立ちたい"
"ここにもファンがいること、忘れないでください！"
"ファンの前でそんな顔をしないで"
"オレ、Aさんと一緒に歌いたいです"

やめて、
ただの一般人の私に

期待しないで…

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