未完成のPiece6【アイナナ】

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お兄様が電話を取り、
私の携帯からお兄様の声が聞こえた。

「僕が一番好きな曲、
この寮に来た時にリクエストしたでしょ？」

覚えてる？、と最後につけたしたお兄様。
そんなの、忘れるわけないじゃん。

電話を切り、お兄様の前に座って
顔を見つめる。

『最初から、私のファンだったんだ。』

「インディーズの頃から、ずっと見てたよ。
知ったのは友達からだったけど、
でも、ずっと応援してるよ。

だから、コンクールも頑張って」

『任せて』


＿＿＿＿＿＿

「Aちゃん、そんなに荷物少なくて大丈夫？」

『万さんが多いんだよ』

空港で荷物を預けていると、
万さんが突っ込みを入れた。
…スーツケース2個は完全に旅行目的なのよ。

「そういえば、壮五君に行ってきますしたの？」

『寮出る前にしたよ』

本当はお兄様も空港まで送りに行く、
と意地を張っていたがお仕事があるそうでどうしても来れないらしい。

三月さんと大和さんに両腕をホールドされながらのお別れだったが、
空港までついてこなくて本当に良かった…。

アイドルにお見送りなんて噂が立ってしょうがない。
ただでさえ不特定多数の人たちがいるんだから。

でも、お兄様も心配なのは相変わらずだな、なんて

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