未完成のPiece3【アイナナ】 (ページ43)

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撮影、とは言っても同じスタジオで表紙の撮影で、
時間には余裕があった

少しのどが渇いたので、自販機に向かっていると、
おじさんがじっと私のことを見ているのに気が付いた

気味悪いな、なんて思いながら通り抜けようとすると声をかけられた

「君は、アイドルのA、かな？」

『…貴方は？』

「あぁ、失礼。私はこういうものです」

そう渡された名刺には九条鷹匡と書かれていた
うーん…名刺渡されたし、知ってる人じゃないよね…？

『一応、私も…おっしゃる通り、Aと申します』

一応名刺を渡されたので、私の名刺も渡しておいた
この人には何となく渡したくはなかったが、
社交辞令として…仕方ない

「ちょっとだけついてきてもらっても？」

『はい』

そういわれて人気のない通路まで連れてこられた。
集団リンチとかじゃないよね…？
テレビ局だし、大丈夫だよね…？

「改めて、逢坂Aちゃんかな？」

聞きたくもない、私の本名を口にしたその男
初対面にもかかわらず本音が出る

『そこでその情報を得た？』

「怖い怖い、アイドルがそんな顔しちゃ台無しじゃないか」

『早く、質問に答えて』

「君の情報を得るのは苦労したよ、
あの社長は君の存在自体を消してしまたからね。
お兄さんの方はまだ日が浅いからかすぐに出てきたけど」

怪しく笑いながら話すその男に冷や汗が出た