未完成のPiece3【アイナナ】 (ページ40)

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『ねぇ、叔父さん』

「どうしたんだい？」

『私、アイドルになりたいの』

「いいじゃないか、俺は応援するぞ」

『…ほんとに？』

「あぁ、Aがアイドルになったら叔父さん、
全部のライブに出て1番前で応援してやるさ」

『じゃあ一番最初のファンになってくれる？』

「俺はアイドルになる前からAのファンだよ」

『ふふ、ありがとう』

私が中学に上がる少し前、叔父さんとはこんな会話をした

でも、叔父さんは私のアイドル姿を見る前に亡くなってしまった。
それは突然で、
お父様から話を聞いた時は自分の耳を疑った。

正直叔父さんのお葬式の日はあまり覚えていない。
まだ買ってもらったヴァイオリン代、返せていないのに
まだアイドルになってもいないのに
ライブで1番前で応援してくれるんじゃなかったの？

そんな想いがぐるぐるして涙が止まらなかった。

親族からあまりよく思われていない叔父は、
葬式で泣いているのは私くらいだった。

お兄様もきっと泣きたかったと思うけど、
周りの声に幻滅していたと思う。

叔父を亡くした日の夜、
叔父が居ないならと私1人でアイドル計画を実行した。

＿＿＿＿＿エピソード15 過去