未完成のPiece3【アイナナ】 (ページ19)

今日:2 hit、昨日:20 hit、合計:21,314 hit

116 ページ19

もう芸能人御用達と言っていいだろうか、お店の個室に通される

「リンゴジュースでいいよね」

『あ、うん』

この人、人の返事聞く前に呼び鈴鳴らしたよ…？
注文をするとすぐに飲み物が運ばれ、とりあえず乾杯をした

『で、呼び出しの要件は？』

「ボクたちの新曲、聞いた？」

あぁ、そのことか…
聞いたよ、と返すと彼は飲もうとしていた手を止め、
私の方をまっすぐ見つめた

「どう思った？」

『TRIGGEっぽくないと思ったって言ってほしいの？』

「少なからずボクはそう思った。いつもの作曲家に頼んで作ってもらった曲だし、
そんなことはないと信じたいけど」

たしかにあの曲は春樹の曲だ。
それをTRIGGEが歌っていることは私からすれば違和感

そういえば、この前アイナナちゃんの部屋から出てきたのって…
今はTRIGGERの曲を作曲している人だった
あぁ、あの人が盗んだんだ。春樹の曲を。

けれど、目の前にいる天さんの反応から、
TRIGGEはこの件には関与していないと思う。
でも、世に出された曲を後からアイナナちゃんの曲でした、
なんて言ったらこの子達の未来は真っ暗だ

『ねぇ、もしこの件が決着つきそうになったら私を呼んでよ』

「どういうこと？」

『かわいい後輩ちゃんのデビュー曲を奪ったんだもん、先輩として一喝しないと』

そして、春樹の曲を奪った罰として彼を殴らないと気が済まない