コード・ブルー～短編集～ (ページ5)

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緋山side

仮眠室の前。

小窓から覗くと

仰向けに寝転がった彼が

額に腕を乗せて天井を見上げているのが

目に入ったから、

思い切って扉を開けた。

緋「・・・よ！」

ちょっと戯けた仕草で片手を上げてみる。

部屋には藍沢１人のようだった。

藍「何してんだ」

緋「何って、仕事だけど」

さっきと真逆の立場の会話に少し笑いそうになる。

藍「今日は日勤のはずだろ」

緋「そうだけど、

誰かさんが雑用押し付けてくるから

片付けなきゃいけない書類が溜まってんのよ」

藍「・・・悪かった」

緋「やだ、謝んないでよ」

しばしの沈黙。

なんだか気まずくって、

いつもより明るめの声を出した。

緋「しょーがないなぁ。

代わってあげようか、当直」

藍「いや、いい」

緋「・・・そうね、その身体じゃ帰れないか」

ドン

緋「ほら、あけて」

言いながら

ベッドの上の藍沢の脚を追いやると、

できたスペースに大量の書類を置く。

その隣に静かに腰を下ろした。

緋「しょうがないから、いてやるわよ。

どっかのばあちゃんっ子が

寂しくて泣かずに済むように」

藍「優しいんだな・・・意外と」

緋「まぁね。

・・・よく、言われる」

冷水に濡らしたタオルで頭を冷やしてやりながら、

黙々と書類の整理を続ける。

PHSの鳴らない静かな夜は

ゆっくりゆっくり更けていった。