コード・ブルー～短編集～ (ページ13)

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意外な苦労人 after story ページ13

冴島side

緋「ちょっと冴島！

どういうことよ、

あんた藍沢の女と知り合いなの！？」

白「決して仕事をサボってたわけじゃないんだけど

私たちたまたま中庭にいてね？」

藤「決して跡をつけてたわけじゃないんだけど

たまたま話してるとこ見ちゃったからさ？」

緋「・・・あんたら下手すぎ」

こんなことがあったのは

藍沢先生がホテルに帰ったすぐ後。

まさか先生たちに見られていたなんて。

私としたことが

怒りより動揺が勝ってしまって少し狼狽えた。

だって、

フライトナースとしても、人生においても

尊敬している先輩に固く口止めされてたことが

バレてしまった。

彼女のフライトナース時代

プライベートなことをたくさん教えてくれたのも、

結婚式に呼んでいただいたのも、

全部Aさんが

『はるかちゃんは口が固そうだから』

って、笑顔ひとつで私を信用してくれたからだ。

それをこんな形で・・・。

冴「藍沢先生のプライベートなことを

私が話すわけにはいきません」

できるだけ表情を変えず、

毅然とした態度で答える。

多分普段どおりの私に見えているはずだ。

藤「子供いたよな？

会話までは聞こえなかったけど

普通の家族に見えたなぁ～」

緋「結婚に出産。

めでたいことだし

隠すようなことじゃないじゃない」

白「それに、いくら他人だからって

同じ職場で働いてるんだから

それくらいは教えてほしいわ。

もしかしたら早く帰れるように

配慮してあげられるかもしれないし」

確かに、

それについては何度も同じことを思った。

２人に相談もした。

だけど、

『子供がいることで

変に気を遣われて仕事に影響を出したくない』

藍沢先生の答えはいつもこれで。

それをAさんに伝えたときは、

『私ね、耕作には本当に感謝してるの。

だから彼の考えをできるだけ尊重したい。

でも誤解しないであげて？

耕作は娘２人とも同じように愛して、

同じように大切に想ってくれてるわ』

と言われて、何も言えなかった。