今宵、月夜に君は輝く。Ⅱ (ページ16)

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次の日、指定された時間より少し早めにカフェに行く

けど、もう丸ちゃんさんは居た。

『すみません、待たせちゃいましたか？』

「僕も今来たところやし大丈夫やでー」

目の前にあるコーヒーの減り具合からよくある嘘ではないとわかり、安心する

「なんか頼み？」

『あ、そうですね』

店員さんに、オレンジジュースを頼んで丸ちゃんさんに向き合う

「大倉とはなんか進展あったん？」

『いえ、特にないです
あ、でも！花火のお祭り一緒に行きました』

「へー！すごいやん
どう、楽しかった？」

『……元彼にあっちゃって』

「それって、･･･前言ってた、5年付き合ってたって言うてた人？」

『そうです、その人です』

相槌をうって、オレンジジュースを1口飲んだ

『でも、結婚してました』

左手の薬指についていた＂誰かのモノ＂だという証
その事実を口に出してみると、やはり辛い

『お相手すごく綺麗な方でした。しかも、優しくて。私と別れてそこまで時間経ってないのにあんなに綺麗な人と結婚までしてて、びっくりしました』

ははっ。って自虐的に笑ってみる

「Aちゃんは、それで良かったん?」

低い声で丸ちゃんさんが問いかけた

少し怖い2枚目トーン

『私と付き合ってた時にもう今のお相手と付き合っていて、そして、結婚するために私が邪魔になって別れたんじゃないかって。

そんなこと考えちゃったんです

そんなことを考えてしまうような女じゃ、やっぱり不釣り合いだったんです、、

ずっと好きだったのは私だけだったんじゃないかな。

結婚まで考えて、ずっと一緒にいたい。そう思ってたのは私だけだったんじゃないかなって。』

思ってたことを吐き出す。

スッキリなんてしなかった。
ただ、モヤモヤが募っていくだけだった。

章大くんを酷い人として消化しようとしている自分に腹が立つ

けど、そうでもしないと保てない。

「それには、同感でけへんな」

初めてみた、丸ちゃんさんの少し怒ったようなどこか悲しそうでもある複雑な表情

「きっと、Aちゃんだけが好きやったなってことはないんやないかな」

さっきよりずっと悲しそうな顔をしてそういった

『･･･結婚してても？』

最後に、大倉さんに言った言葉は章大くんの優しさ

けど、まだ私のことを好きだとは考えられなかった。

「･･･これ、僕の友達の話なんやけどな？」

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