今宵、月夜に君は輝く。 (ページ29)

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電話をしてた大倉さんが戻ってくる。

「友達に許可取れたから、今から向かうわ」

『どこにですか？』

「んふっ、ないしょ～」

そう言うと大倉さんが楽しそうに笑う

いつもならかっこいいー！！ってなるとこだけど、
今はさっきの章大くんかもしれない人が気になって仕方がない。

今、一緒にいるのは大倉さんなんだから

章大くんとは別れたんだから

復縁することなんてないんだから

あの人は自分勝手に私を捨てたんだから

自分無理やり暗示をかけて、章大くんを最低なクズ野郎に仕立てようとするけど最後にみたあの笑顔が頭をぐるぐると回る

「大丈夫？」

『えっ？』

赤信号待ちしてる大倉さんに唐突に言われて驚く

「Aちゃんって時々難しそうな顔するよな」

『そう、ですかね？』

とぼけてみるけど、きっと私難しい顔をしている時は章大くんのことを考えてる時。

大倉さんに心配かける訳にはいかないから、章大くんのことを頑張って消し去る

大倉さんの隣にいられてるのに、難しい顔するなんて絶対だめ。
章大くんのことは帰ってから、じっくり考えればいいんだから。

そう自分に言い聞かせた。