今宵、月夜に君は輝く。 (ページ4)

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「今までありがとう。じゃあ、ね」

眉を下げて笑って、私に背中を向けた

　

「行かないで」って言えれば振り返ってくれただろうか

「待って」って追いかけていれば立ち止まってくれただろうか

　

私は何一つできずに、ただ背中が小さくなるのを眺めることしかできなかった

彼の背中が見えなくなるともう彼とは別れたっていう事実が鮮明になり、

何かがぷちんっと切れて涙が止まらなくなった

夜とはいえ、人通りが少ないとは言えない場所だから声をあげて泣くには通行人の目がいたいから涙をこらえ帰り道を歩く

いつもデートの帰りは必ず送ってくれた彼は隣にいない

彼の家からは遠いはずなのにこの公園をわざわざ指定したのも、帰り送れないからなるべく私の家から近いところを選ぼうとしてくれたのかな、、

あー、、最後の最後まで貴方は優しいんだね…

優しさに気づいてこらえようとしてた涙に歯止めがきかなくなる

『ごめんだけじゃ、なんにも納得出来ないつーの…』

澄んだ夜空に吐き出して
声を押し殺して泣く

泣いてることなんて暗いから誰にもバレないはず。

・

ボロボロに傷つけてくれたら、思い出としても残らなかったのに

＂今までありがとう。じゃあね＂
って、彼は別れを告げる言葉でさえ優しいんだ