必要なこと ページ27
「すいません、唐突にこんな話。
でも、僕は初めてあなたとお会いした時からなんとなく
こうなる時が来ると確信があったんです」
「ちょ、ちょっと待ってください。
わたしたち、何度か済州島でお会いして
お仕事ご一緒させていただいたけどまだお互いの事何も知らないし…」
「時間や密度が必要ですか?」
「そういうわけじゃ…ないですけど…」
「僕は、時間や密度は重要じゃないと思います。
あなたの仕事に対する姿勢や気配り、そしてなによりその笑顔に
毎日会いたいと、そう思いました。それだけではダメですか?」
「あの、ご存知だと思いますけどわたしは日本人ですよ?」
「それが何か?」
「え…?」
「あぁ…もしかして、それでですか?」
「はい…?」
「あなたが今、一人の理由です。」
「…」
「好きなんでしょう?彼のこと」
「…」
彼のこと、というのはドンヘの事だとすぐわかる。
「あなたと、彼の間にどんな事があって、
どうしてあなたが臆病になっているのかは知りません。
でも、僕は、あなたがどこの生まれで、過去に何があったかなんてことは問題にしません。
必要なのは、あなたという人間を、僕が必要としている。それだけです。」
この人には、わたしの不安も悲しみも、全てお見通しのような気がする。
その上で、わたしでいいと、言ってくれる。
「でもわたし…」
「今ここで返事しないでください」
「え?」
「今すぐに、返事が欲しいわけじゃありません。
もうすこし、僕と向き合ってくれませんか?」
「しゃ…」
と言いかけたら軽く睨まれて、
「ギジュンさん」
と言い直す。
「でも、あまり待たせないで欲しいな。
決して僕も、気が長い方じゃないんで…」
そう言ってギジュンさんは笑ったけど、その表情は真剣だった。
あの、まっすぐに私を見る目に嘘はない。
もちろん、わたしもギジュンさんのことは嫌いじゃない。
きっと、あの人ならわたしを包み込んでくれる。
このまま身を任せてしまえば、楽になれるのかもしれない。
だけど…
考えてみても、結論は出なかった。
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さくらこ(プロフ) - ふるふるさん» ふっるんちゃん、ようこそ〜♪コメントありがとうございます!!続きもよろしくお願いします! (2013年3月31日 22時) (レス) id: fbd3e675d8 (このIDを非表示/違反報告)
さくらこ(プロフ) - ゆなさん、初コメありがとうございます!すごく嬉しいです(≧∇≦)脳内で変換して楽しんでいただけると嬉しいです! (2013年2月20日 21時) (レス) id: fbd3e675d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:mi*ku | 作者ホームページ:http://id41.fm-p.jp/390/cherryhae15/
作成日時:2013年2月11日 1時