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side 河村
茹るような猛暑日が続いている。
「ああ、頭が痛い。」
毎年、天候や季節に振り回されたばかりだ。
こんな日に買い物に出かけようと思った自分を恨む。
とぼとぼと歩いていると、目当ての書店についた。
「涼しい…」ああ天国かと思いながら、書店をぶらぶら周る。
普段は買い物をネットで済ましてしまうのだが、たまたま興味があった本が売り切れで、しかたなく買い物に来たのだ。
お目当ての本と、興味がわいた本屋大賞の本を数冊購入した。
そして外に出る。「暑い…」
急な温度差で血がサーと落ちていく。
「うわ、これはやばいな」と思いながら、頭に血が上らない。
「大丈夫ですか?」
座り込んでしまったと同時に、女性の声が聞こえた。
「は、はい」
返事をするので、やっとだ。心なしか声が震えている。
「熱中症ですね」
彼女はそう言って、ハンカチに水が入ったペットボトルの口を当て、ハンカチを濡らす。
「少し冷たいですよ」
「つ、冷たい」首に冷たいハンカチが当たり驚く。
「ここは人が多いので、少し歩けますか?」
「ゆっくり立ってください」「よければ手を使ってください」
優しい声に導かれて、ゆっくり立ち上がる。
彼女の冷たい手が意識をはっきりとさせていく。
すこし歩いて公園のベンチに座る。
「少し待っていてくださいね」
彼女はそういうと、立ち上がってどこかへ行ってしまった。
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作者名:Nana | 作成日時:2021年1月17日 3時