３話 ページ3
少女は手刀を避け鳩尾に食らった。細く軽い感触がして、少女は吹っ飛んだ。
数メートル吹っ飛んだ少女はまたこちらに向かって来る。
「へぇ……」
少女は依然としてフラフラしているが、どこかが折れている様子もない。
俺に殴られる直前に、己の手で防いだのか。
先読みされているな。ついでに俺の「力」も読み切られているだろう。俺は先程男と戦った時に手の内を見せている。それを少女がどこかから見られていたのであれば、俺の「力」を予想しているのも頷ける。
更に連撃。少女は見たところ、戦闘には慣れていなさそうだった。闇社会に生きて、既に数年は経っているであろうが、それでも暴力をするのに慣れていない。
初めてキャッチボールをする子供みたいなパンチだ。あらぬ方向に飛んでいくボールのように、少女の拳は俺に届かなかった。
それでも、暴力を受けることには慣れているようだった。無意識に、痛めたら行けないところを寸でのところで躱している姿は、少女が隷属するという立場を、身に刷り込ませている事を物語っていた。
殴られ、蹴られ、また殴られ。急所を避けてはいるが、それも段々と無理な動きになってくる。
もはやボロボロになってしまった少女は、それでも俺に向かって来た。俺の横で倒れて倒れている男よりも酷い負傷だ。
「ハァッ……ハァッ……」
よろよろと、何度も。何度も。まるで、ロボットが主人に仕込まれたプログラムを守るかのように。
「おい！ アイツに傷一つつけられてねぇじゃねぇか！」
後ろの女性と戯れている、少女のボスが怒鳴る。少女の首の痣が薄くなった。
首の痣。男が怒鳴ると薄くなる。痣が薄くなったらどうなる？ 逆に、何をしたら痣が濃くなる？
少女は満身創痍になりながらも再び俺の前に来た。
荒い息を吐いて、腕や足の打撲痕は、古いものではなく、ここの戦闘でできた新しいものに変わっていた。
少女が拳を振り上げる。その腕は震えて、俺に届きそうにない。
俺はそれを無視して、もう何回目か分からない拳を少女の腹に叩き込んだ。骨が折れる感触がした。
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狼(プロフ) - アホですさん» コメントありがとうございます。ファンレターいただきました！ 自分の趣向が独特なのは重々承知していますので、同じ仲間ができて嬉しいです！！ 頑張ります！！ (4月1日 21時) (
レス) id: aa611b8d88 (このIDを非表示/違反報告)
アホです - 好き、 (4月1日 17時) (レス) @page9 id: fc78fe5922 (このIDを非表示/違反報告)
狼(プロフ) - 滅華狂さん» オレの壁を詰め込んだらこうなりました☆ コメントありがとうございます。頑張ります！ (3月11日 10時) (レス) id: aa611b8d88 (このIDを非表示/違反報告)
滅華狂(プロフ) - 主人公の忠誠が強すぎ…こんなすごい子を描けること尊敬します。更新頑張ってください (3月11日 5時) (レス) @page9 id: 268b73ad4f (このIDを非表示/違反報告)
狼(プロフ) - あゆかさん» ご指摘ありがとうございます！！ あのまま気づかなかったらヤバかった……！ (1月31日 20時) (レス) id: aa611b8d88 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：狼 | 作成日時：2024年1月30日 10時
