【文スト】織田作さんを無事に助けた私は、自分の過去を話してこれからの事を考えていかなければならない様です。って、まじ？ (ページ9)

今日:12 hit、昨日:15 hit、合計:254,489 hit

第撥拾伍話(暴力的表現があります【閲覧注意】) ページ9

おじさんが来てから1年、その日は夏休みで、お母さんがおじさんと二人で朝から出掛けて行きました

女の子は可笑しいと思いながらも大人しく見送りました

と云うのも、おじさんは何時も家に居て、お母さんと出掛ける、という事は無かったのです

今思えば、おじさんが平日もずっと家に居た方が可笑しいのですが、当時女の子には、それが普通になっていたのです

二人が帰ってきたのは夕方でした

帰ってきて早々に、お母さんはおじさんを指して云ったのです
｢今日からこのおじさんはお父さんになるのよ｣と

当然、女の子は戸惑いました
女の子にとってお父さんと云うのは、三年前から行方不明になっているお父さん、唯一人です

それをお母さんに伝えたら、途端にお母さんは悲しそうな顔をし、｢お父さんは今日からこの人。あの人はもう帰ってこないのよ｣と女の子に、そして自分に言い聞かせるように云いました

おじさんは｢戸惑うのも無理がない、徐々に慣れていこう｣と云いました

ここまでは、まだ優しい人でした

おじさんが変わってしまったのは、夏休みが明けて暫くの事です

女の子は何時もの様に、おじさんが一人居る家に帰っていきました

家の扉を開けると、そこに居たのはいつもと違い、酒に酔ったおじさんでした

おじさんは、女の子を見ると、急に怒った顔になりました

お前は何時になったら俺を父親と呼ぶんだ

そう叫びながら女の子を殴りつけました

それも、服から見えない所を執拗に

女の子は訳も判らず、泣きながら謝り続けました

ごめんなさい、許して、“父さん”

女の子はそれでも、おじさんを“お父さん”とは呼べず、結果“父さん”と、そう咄嗟に呼びました

その時は、それで満足し、“父さん”は寝てしまいました

母が帰る頃には何時もの“父さん”に戻っていたので、女の子は、私が悪い事をしてしまったから“父さん”は怒ったんだと、そう思いました

ですが、“父さん”の暴力はその日に留まらなかったのです

女の子はその日から、理不尽に暴力を受けました

それは何時も、決まって“父さん”が酒に酔っている時でした

最初はお母さんも、暴力を止めようとしてくれましたが、“父さん”にこれは躾だと怒鳴られ、それ以来何も言わなくなりました

女の子は、殴られる度に自分を責めました

自分が悪い子だから、“父さん”は私を殴るのだ、と

唯、その暴力の矛先が女の子だけなら、まだ良かったのです