羅刹の幻影は囁く part11

【FAMILY】18 ページ34

晴臣「ここはお前の専用の席だな」
『……………っ、はぁああ。なんか疲れた』
晴臣「嬉し疲れか？」
『この表情見てそう言えるって凄いよ……まあ、嬉しくはあるけど』


実際、私専用と聞くと嬉しくない筈がない。ずっとあの時の事を覚えていてくれたという事だから。この人は、ずっと私を忘れないでいてくれたんだ。


ずっと忘れずに、私を待ってくれていたんだろうか。
だとしたら、その間何を思っていたのかな。



晴臣「お詫びに今度は煮卵３つつけてやるよ」



「好きだろ」と問いかける晴兄にもう何も反論できず、そのまま頷く。

ああ、本当に私はこの人に勝てる気がしない。
でもそれでもいいと思えるのは、妹としてだろうか。

……ムカつくけども。



『煮卵＋チャーシュー丼もつけてね。テイクアウトで餃子も』
晴臣「はいはい」
『はい、お代』


彼らのを合わせてお代を渡すと、おつりを返される。だけど、その量がかなり多い。
よく見たら、私が食べた分を抜かしておつりが渡されていた。


『ちょ、いいよ。私だって結構食べたんだから』
晴臣「お前からはとらないって言っただろ」


確かにそう言われていたけど。
カウンターの事と言い忠実というか、まじめというか…。
納得できないのが顔に書いているのか、「凄ぇ面」と頬を摘ままれた。


晴臣「またどうぞ、常連さん」
『……また来ますよ、マスターさん』


軽く手を振り、振り返す晴兄に視線を切り、店を出た。

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