羅刹の幻影は囁く part11

【FAMILY】16 ページ32

元凶である晴兄の方を睨み、説明を求める。
「はぁあ」と至極わざとらしそうな溜息で返され、渋々と言った感じで私達に向き直る。
うわっ、ムカつく。



晴臣「そこに座らないと駄々こねるお客さんが昔から通い詰めてんでね」


やや意地の悪い言い方をしながらそう言う。
その言葉に出てくる「駄々こねるお客さん」が誰なのかに気付き、カッと顔が熱くなった。


『駄々こねてないし！』



思わず怒鳴ると、おかしそうに笑いながら、「ほかの客が座ったら、私の席だって泣きじゃくっただろ」と言った。


いやいつの話だ！！心で思ったと同時に口に出してしまう。
確かに子供の頃はそんな事言ってたかもしれないけど、駄々っ子じゃあるまいし今言う訳ないだろ！！
この野郎…。珂波汰がこの間、座ってる私を見て驚いてたのそういう訳かよ！！
言われてみれば、私が座っている以外見た事無かった！


玲央「ねぇねぇ、２人ってどういう関係なの？」
北斎「凄く仲良さそう」
晴臣「まぁ、昔からの常連だと思ってくれ。コイツがガキの頃からの付き合いだからな」
『だらかって……っ、ああぁ、もういい』


頭を掻き、ドカッと椅子に座る。


晴臣「なんだ、カウンターじゃなくていいのか？」
『ぶん殴るよ』


くそ、この場に２人しかいなかったら本気で殴れたのに。
ワナワナと拳を固めていると、場の空気を察したのか玲央が切り替えたように「僕隣―！」と私の隣に座って来た。


珂波汰・紗月「あぁ！！？」
玲央「へへっ、はやいものがーち！」
那由汰「じゃあ俺その隣」
北斎「俺対面の方に座る」


人の気も知らず、ワイワイと騒ぐ珂波汰たち。
それを後目に見て、溜息を吐いた。


くそー、ムカつく思いも羞恥心もかいたのに……と沸々湧くのを抑え、元気な彼らの為にこれらを静めた。

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