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【294】__アンSIDE ページ37

『もういいんだよ、アン。ありがとう』



あっさりとそう言い放った君は、笑顔を浮かべる。けど、その表情からは諦めに近い感情が読み取れた。きっと泣きたいのはAの筈なのに、なぜかその表情が、“過去”の僕と重なって僕の心がぎゅっと締め付けられる。


ママの王子様であろうとした僕が目の前にいるように感じた。



『アンの髪は、綺麗でサラサラだね。努力の賜物なのかな』


笑みをこぼしながら僕の髪をほめてくれる。

何か言うべきなのに、言葉が浮かばない。それを隠したくて唇を噛む。目の前のAが心配したそぶりを見せて、口を開く。きっと「唇を噛んじゃだめだ」とか言いたいんだろうけど、今は僕にかける心配の言葉を聞きたくなくて、彼女の肩にそっと頭を置く。


他人から細見だと言われる僕でも分かる、華奢な身体。肩の筋も硬さも、僕なんかとは違う。
改めて感じる、Aは女の子なんだって。



アン「…Aは、優しすぎるよ」



そんな小さな体で、僕よりもきっと大きな何かを抱えている。
だけど君は『そんな事ない』と僕の言葉を否定する。


『私は酷い女だよ、アン』


君が酷い女なら、僕が酷い男だよ。
だって、ちゃんとした言葉をかけられない。普段からストレートに物事を伝えるけども、今は何を言えばいいか分からないんだ。






僕の世界は、ずっっと狭いもの。
家という箱庭の中で、僕はママと二人っきり。
ママだけが僕を愛してくれる、愛さないといけない。だから僕はママのいう“王子様”にならないと。

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テルミヤコウジ(プロフ) - らむねさん» 評価1回しか押せないのにそんな何度も・・!ありがとうございます!更新頑張ります! (2021年12月2日 23時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
わらわら - こんわ!毎日見てます!あのポケカラとゆうアプリなんですけど、、歌わなくっていいので!そのメッセージでなりきりしませんか?私のは「栗花落アリス」って書けばでます!オーバーでしたらいらないやつを消してください (2021年12月2日 21時) (レス) id: 8f9b2ed954 (このIDを非表示/違反報告)
らむね - 何回も何回も評価押しちゃう...。更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年11月29日 23時) (レス) id: 663a3c4de7 (このIDを非表示/違反報告)
テルミヤコウジ(プロフ) - ゆいゆいさん» 折角お誘い頂けたのに、すいませんでした!ありがとうございます (2021年11月25日 14時) (レス) id: a3dd506789 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい - テルミヤコウジさん» 別にいいですよ!これからも読み続けるので頑張ってください! (2021年11月25日 14時) (レス) id: 9bf949a5b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テルミヤコウジ | 作成日時:2021年11月21日 21時

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