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【273】__北斎SIDE ページ16

俺の隣で眠りについたA。シロも俺の腕からAの腕の中にもぐりこんだ。
目元にかかる前髪を払って、ジッとあどけない顔を見続ける。



__『北斎に見つけて貰えてよかったな、お前』



あの子猫の頭をなでながら、Aはそう言ってくれた。
俺が、優しい人だって言ってくれた。


ふいに目を閉じた時、忌々しい過去を思い出す。
…あの父親の息子だから、皆俺を色眼鏡で見る。“犯罪者”の息子だって揶揄する。
あの時の俺には、そんな心優しい言葉をかけられた事なんてなかった。



だからこそ、今がすごく幸せだ。
兄貴や善兄、紗月や玲央みたいな家族がいて…Aみたいに俺をやさしいっていってくれる子が近くにいる。



北斎「………Aは、どんな事に苦しんでいるの」


きっと俺と同じ、もしくは俺以上に苦しい思い出があるかもしれないA。
この世界は、コード付きってだけで君を非難する。

他人から中傷は想像以上に辛い。身体じゃなくて、心が悲鳴を上げてどうしようもなくなる。耐えて、耐えてもいつかは心が折れてしまう。

俺は完全におられる前に依織の兄貴に拾われた。
もしかしたら、兄貴がAを気に掛けるのにはそれが原因の一つかもしれない。


コード付きだと罵倒された時のAは何でもないような顔をしていた。きっと、その言葉にも慣れたんだ。でも、それを慣れるまでに…慣れた後も空虚な感覚が胸を支配する。


君はいま、幸せなの?
誰が君を支えてるの?


こんなに触れられる位近いけど、俺には分かりっこない。
だって、何も知らないから。



何も知らない俺がせめてできる事は、こうやって一緒に穏やかに過ごせる時間をあげる事だけだ。



北斎「…………眠ぃ」

身体をずらし、数ミリ離れていた距離を縮めて俺も眠りについた。



土と木と風の匂い、あとは…花みたいに甘くて爽やかな匂いを感じた。






 
それから少し後、俺とAは紗月と玲央(というか紗月)の一際大きい目覚ましで、起きる事になった。

【274】__西門&神林 SIDE→←【272】



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テルミヤコウジ(プロフ) - らむねさん» 評価1回しか押せないのにそんな何度も・・!ありがとうございます!更新頑張ります! (2021年12月2日 23時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
わらわら - こんわ!毎日見てます!あのポケカラとゆうアプリなんですけど、、歌わなくっていいので!そのメッセージでなりきりしませんか?私のは「栗花落アリス」って書けばでます!オーバーでしたらいらないやつを消してください (2021年12月2日 21時) (レス) id: 8f9b2ed954 (このIDを非表示/違反報告)
らむね - 何回も何回も評価押しちゃう...。更新楽しみにしてます!頑張ってください! (2021年11月29日 23時) (レス) id: 663a3c4de7 (このIDを非表示/違反報告)
テルミヤコウジ(プロフ) - ゆいゆいさん» 折角お誘い頂けたのに、すいませんでした!ありがとうございます (2021年11月25日 14時) (レス) id: a3dd506789 (このIDを非表示/違反報告)
ゆいゆい - テルミヤコウジさん» 別にいいですよ!これからも読み続けるので頑張ってください! (2021年11月25日 14時) (レス) id: 9bf949a5b3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テルミヤコウジ | 作成日時:2021年11月21日 21時

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