羅刹の幻影は囁く part10

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実里「あっ！そのリップグロスの色、アンちゃんにピッタリじゃない！」
アン「そう思う？じゃあこっちのチークはみのりんに似合うかも！」
実里「あら、いままで挑戦した事ない色だけど…アンちゃんがいうならいいかも！」


強制連行されたが、自分達のコスメの話題で盛り上がっている。
「まずは僕たちのを選ぶから、ちょっと見てて」と言われ、蚊帳の外だ。

今の内に逃げ出してもいいんだが……………それをすると果てしなく面倒な目に合う事は必須。ここは大人しく店内を見てるふりをしておこう。



アン「A〜どんな感じ？」

見てるふりしようと決意したところに戻って来た。察しがいいのかコイツ…。



『どうも何も、全然知らんから眺めてるだけだよ』
アン「この色がいいとか、べたつき無い方がいいとかあるでしょ？」
『んな事言われても……』
アン「ちょっと顔貸して」


そう言って私の両頬に手を当ててくる。細いがしっかりとした指で私の肌を触りまくるアン。私だったらいいが、普通ならセクハラだぞ。


アン「Aってあんまり肌荒れてる印象ないよね。化粧品とか使ってるの？」
『化粧品……あー、洗顔とかは、一応実里から押し付けられたのを使ってる。使わないとすぐ見抜かれるから』
アン「あー、なるほど。じゃあAの肌に合ってるブランドかも。なんていうやつ？」
『………えっと、これ』



いつも使っている洗顔用品の名前を思い出し、スマホで検索をかけると1発で出てきた。てか、値段高っ。こんないいもん私に押し付けてたのか。

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