羅刹の幻影は囁く part9

【237】＿＿悪漢奴等 ページ18

依織「TCWとの対決は俺らの勝利やった。やけど、まだ1勝目や。油断は出来へん」
善「そうですね。神林さん達も、このまま負けたままだとも思えません」
依織「やな。一度負けを経験しとるもんは、強いもんや。背後から寝首をかかれんよーに、俺らも用心せな。俺らが目指すんわ、ほんまの意味でのNO,1やからな」


俺ら自身の目的の為にも、と本音をあえて出さず善に話す依織。
その依織に「はい！」と元気よく返事をする善。


善「そのためにも、今後のバトルも絶対、」

勝ちましょう、と続けようとした言葉が家中に響いた「あーぁあ！！」という紗月の大声により遮られた。


紗月「てめぇ！！！それは俺が残してたアイスだろ！！」
玲央「へへっ〜んだ早い者勝ちだも〜ん♡」
紗月「このクソガキ！待ちやがれ！！」


いつものように喧嘩する2人と、そんな2人に驚いたシロの鳴き声が聞こえてきて、頭を抱える善。


善「っ〜アイツ等は……たくっ」


少々お待ちを、と言い喧嘩をする2人のところまで歩き出す。
暫くすると「こらぁあ！君達いい加減に！！」と善の小言と、何かが殴られる音がして、依織はハハと笑う。


依織「……嵐の前の静けさ、とはならんなぁ」


ゴキゲン、ゴキゲンと呟き笑みを絶やさない依織。
ふと、彼のスマホが音を立て鳴り始める。


スマホの画面に映っている名前を見た瞬間に、パッと電話に出た。


依織「もしもし〜？珍しいなぁ、Aちゃんが俺に電話かけてくるなんて」



うれしいわぁ、と言う依織。
電話の相手はAでいつもなら『ウザッ』、『煩い』、『死ね』の三拍子が出てくるのだが、今は無言のままだ。

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