羅刹の幻影は囁く part9

【236】＿＿悪漢奴等 ページ17

自宅である日本家屋の事務室にて、一人書類とにらみ合いをする依織。その書類には、アルタートリガー社についての情報が詳細に書かれていた。


依織「やっぱり……尻尾出さんか」


大した情報が描かれておらず、はぁあと重たい溜息を吐き、机に書類を放り投げる。
ん−と両腕を伸ばし、天井を見上げた。



依織「…調べられるもんは全部調べた、旦那のあても外れたし…………あとに探れそうなんは…………やけど、探りすぎたら確実に嫌われるなぁ」


うーん、と頭を掻き「難儀やわぁ」とぼやく。そして神棚に置かれる招き猫に「どないしたらえぇんかなぁー」と問いかけるが、当然返事は帰ってこない。

その時、襖の奥から「若、いらっしゃいますか？」と善の声がかかる。
「おー」と返事をし、机に放り投げていた書類を引き出しに直す。


善「お茶をお持ちしました」
依織「おーきになぁ。丁度、終わった所やし助かるわ」

善が注いできてくれた熱い緑茶を呑み、「ふぃー」と一息ついたような吐息を吐く。


善「お疲れですね。今日くらいお休みになっても」

依織「いやいや、初戦を勝ったからいうて、浮かれとる場合ちゃうからなぁ。次の事色々考えな」

善「わ、若！ご立派です！自分もさらに筋肉を磨き上げ、パフォーマンスと共に若にこの実力を貢献いたします！つきましては、若も是非トレーニングを…」

依織「いや、それはえぇわ」


生き生きと語り出す善に即答する依織。
シュンと凹む善には耳と尻尾が生えているようで、あからさまに落ち込んでいる。
苦笑しながらもトレーニングを一緒に行う事を同意せず、茶を飲む依織。

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