羅刹の幻影は囁く part8

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リュウ「ゲッティーの中のカギは，開いてるのに……どーして、外にでないの？」

『………外って』

リュウ「グズグズしてたら、わるーい魔法使いの魔法で、カチッコチニ固められちゃうよ」



ゴクリと息を呑みこむ。
何の事か、どういう意味か、尋ねる事は出来ない。
だって、それを“知っている”から。



リュウ「まっ、リュウ君にもわかんないだけどねぇ〜♪」


パッとリュウが私から離れる。
その表情は先ほどのような無ではなく、いつものニヤケ面に戻っていた。


リュウ「ゲッティー、リュウ君、ゲッティーが大好きだよ。大好きだからもっともーっと知りたいの」
『………既に知ってるみたいなのに、これ以上知ってどうするの』
リュウ「むふふふふっ、ひ・み・つ♡」


クルクルと周り、ヘラヘラと笑うリュウ。
本当の顔を隠して、いつも笑顔……まるで道化師だ。


ケラケラと笑ったリュウはそのままダダッと走っていく。
その背を呼び掛ける事も、追いかける事も出来ず、白い背中が見えなくなるのをジッと待った。



リュウ「ゲッティ〜！」



此方に背を向けていたリュウがクルッと振り返り、両手で手を振ってくる。
当然、それを振り返す余裕は今の私にない。


リュウ「ゲッティーの答え、楽しみにしてるねぇ♡」




何を、とは聞かずともわかった。
私の返事を待つまでもなく「バイバイマタネー」と去り言葉を残し、今度こそリュウは去っていく。



その背が見えなくなり、私は項に触れる。




『………鍵は開いている、か………』



ハハッと乾ききった笑い声は、吹雪く強風により遮られる。
頬を突き抜ける風は、今まで一番寒く感じた。

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