羅刹の幻影は囁く part6

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目を丸くするAの腕をガシッと掴んで、「なめた事言ってんじゃねーよ！」



『な、舐めた事って…』

紗月「俺らがお前を信じるって言ってんだから、ちゃんと受け入れろよ！」

『なんか無茶苦茶な理論だな、それ』

紗月「つーか、俺らに対して酷ぇ事しねぇとか断言してただろうが。あれは嘘だったのかよ！」

『いやだから、それはするわけがないというか、理由もないし』

紗月「んじゃ、いいじゃねぇか」


「ゴチャゴチャ言うなよ」と言い、細い路地を除きだす紗月。
態度の変容に少々呆れながらも、「本当に素直だな」と呟く。



『素直過ぎるのも大概だぞ。いつか悪い大人に騙されるぞ』

紗月「そーなりゃ、ボコればいいだろ」

『開始１秒で喧嘩始めようとするなよ…猿？』

紗月「猿じゃねーっつのー！…俺には、頭で考えられねぇし。俺には…こういうけんかっ早いとこしかねぇから」



「玲央の奴にもグチグチ言われるし」とぼやきながら、自販機の裏や真下を除き、シロを探す紗月。そんな姿と今言ったばかりの言葉を聞いて、やれやれと肩をすくめる。



『他にもあるだろ』
紗月「あ？ねぇよ。あるとしたら…筋肉か、体力？でも、善兄には及ばねぇし…」
『そういう身体的とか能力的な話じゃなくてさ……中身の問題なんだよ』
紗月「中身？」



Aの言葉に怪訝な顔を浮かべる紗月は、どういうことだという感情を顔に滲ませる。

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