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【138】__四季SIDE ページ11

『ごめんな。怖がらせただけじゃなく、手伝ってもらって』
四季「い、いえ…僕がやりたくて、やっているだけなので」



恐縮そうな顔をして僕を見るAさん。
その言葉を否定しながら、手の中で暴れるリック君を彼女に手渡す。



『四季は一番の恩人だから、お礼がまだ全然出来てないな。何か欲しいものとかある?』
四季「そ、そんな!も、もらえませんよ!」
『私がしたいんだ。お前が見つけてくれなかったら、きっと私は…アイツ等に袋叩きにあっていたからな』



『最後の迷惑だと思って聞いてくれ』と笑いながら言われた。
命の恩人なんて、そんな大それた事を、僕が言われる筋合いはないのに。


だって、僕は……………。



『四季?』
四季「っ!い、いえ…なんでも、ないです」


さっと背を向けてリック君のお世話道具を紙袋にいれていく。


…あ、そうか。もう、帰っちゃうんだ。




『ごめん、ありがとう』


リック君を肩に乗せて、僕から紙袋を受け取ろうと手を差し出す。



『四季?』
四季「………あ、あのお礼、ですけど」
『ん?何か欲しいものあった?可能な限り、手に入れるよ』
四季「…………そ、その………Aさんの……っ、れ、連絡先が…ほしい、です」
『私の?』



予想外の僕の言葉に目を丸くして驚いている。
顔から火が出るくらい、熱い。こんな事、今まで無かったし…女の人に対して言うことだって初めてだ。


でも、今日でAさんがこの店からいなくなる。
今回のことだってあるし、お仕事の関係できっと会う機会は少なくなる。

…………やましい感情だけど、少しでも繋がっていたい。
僕の事を、覚えていてほしい。




こんな感情、僕が抱いていいわけがないのに……それでも、どうしても欲しかった。


四季「……だ、だめ…ですか?」
『……いや、ダメじゃないけど。なんで?』



首をかしげる彼女に、本当の事を言うか迷う。

彼女は大人で、僕は子供。生きている世界だって、多分…きっと違う。
そんな僕が「貴方の事を知りたいから」なんて、言ったら、きっと迷惑になる。

どう言おうか迷っていると、ハッと彼女の肩に乗っていたリック君と目が合った。

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らむね - 善さんはなにを知っているんだろう...。続き楽しみです! (2021年10月20日 16時) (レス) @page49 id: 663a3c4de7 (このIDを非表示/違反報告)
テルミヤコウジ(プロフ) - らむねさん» ありがとうございます!拙い文字力ではありますが、楽しんでもらう様に続き頑張ります! (2021年10月3日 22時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
らむね - いえいえ!オリジナル要素たくさんで逆に面白いです!毎回わくわくしながらみてますよ!なので問題なしです!! (2021年10月3日 15時) (レス) @page32 id: 663a3c4de7 (このIDを非表示/違反報告)
テルミヤコウジ(プロフ) - らむねさん» ご期待に添えられるように、頑張って考えて書きます!でも、オリジナル要素多すぎなので置いてきぼり展開になったらごめんなさい_(._.)_ (2021年10月2日 22時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
らむね - コードの事ばれちゃった…どんな展開になるのか楽しみです! (2021年10月1日 15時) (レス) @page29 id: 663a3c4de7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テルミヤコウジ | 作成日時:2021年9月14日 20時

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