羅刹の幻影は囁く part6

【129】＿＿西門＆神林SIDE ページ2

神林「アイツ、“コード付き”だろ」


それまで喜々として語っていた実里の口がピタリと止まる。
同様に西門も目を見開き、隣の神林を見た。



西門「コードって…まさか」
神林「あぁ、そのコード付きだよ。首元にマークがあったからな」
実里「……見たの？」
神林「衣食住提供してやったんだ、ふいに見る機会はいくらでもある」


煙草を取り出そうとしたが、デカデカと院内禁煙と書かれたポスターを見て、渋々と収めた。



西門「私の予想通りなら、匋平がいうコード付きっているのは……犯罪者につけられる電子監視システムの事かな」

神林「あぁ。普通ならアンクルとかに規定されてるが…１０年位前から体内に直接つける型が法律で認められた。そのマークは、バーコードみてぇな模様で色合いなんかで分けられてるらしい。俺が知る限り、黒が最重要として認定されてた」




「んで、アイツは黒のバーコードを首につけてる」と言い、実里をジッと見る。
その視線を逸らし、実里は棚から煙草を取り出し、平然と付けた。



神林「…おい、禁煙って書いてるから俺が態々」

実里「アンタたち以外にいないんだからいいでしょ、別に。それで？匋平ちゃんは、あの子がコード付きだから何？察にでも売るの？」

神林「いや、気になっただけだ。アイツ自身も、それに触れられたくはなさそうにしてた。ただ……アイツが最重要として敵視される程の犯罪者には見えねぇからな」

実里「………さぁね。罪の重さって言うのは、上にいる連中で変わる。冤罪だろうが有罪だろうが、理不尽な理由でつけられる事だって多々ある」




「あの子がそうとは限らないけど」と言いながら、タバコの煙をフゥと漂わせる。

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