羅刹の幻影は囁く part4

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ASIDE




『決まったか』






両チームのライブを見てからすぐに外に出た私は、外から熱気と歓声に包まれるCLUBを見ていた。


2つのチームとも、幻影もメインの曲も、素晴らしい出来だった。
正直、どっちが勝ってもおかしくはなかっただろう。


けど、結果は決まった。今回の勝者はBAEだ。




『…………いい曲だったな』



どちらとも、自分たちのチームの個性が出ていた。
それゆえに、幻影も引き出されて、今まで以上のステージが見られた。

初戦のステージバトルであのレベルなら、今後とも収益が期待されるだろう。


本番前に両チームに一度会ったが、彫金の事を再度礼を言われたな。
彫金がなくても、盛り上がるステージは出来ただろうに。

フッと自然と口角が上がるのが分かる。


今日はなんだか、いい夢が見れそうだ。
そんなことを考えながら、タバコに火をつける。




＿「こんなところで一人、一服ですか」



折角人がいい気分でタバコを吸っているのに、邪魔をしてくる輩がいる。
暫く聞けていなかった声に嬉しさと同時に含まれる棘の存在に肩を落としつつ、その方向に顔を向ける。



私と正反対の白髪に翡翠の瞳を持った綺麗な背広を着る少年。
約１か月振りだというのに、言葉に棘があるなぁ。



＿「彫金師なら最後まで舞台を見ていけばいいのでは」

『………一応ライブまでは見たよ。投票まで手を付ける気はない。それよりも、久しぶりに会った“姉貴”に対して、棘があるな……“詩音(しおん)”』





月夢詩音。３つの下の私の弟。
そして………私の“上”の直属の部下だ。





詩音「棘を出す理由ならわかっている筈でしょう」

『……まぁ、そりゃあね』

詩音「なら分かりきったことを口に出さないでくれませんか？時間の無駄です」

『はいはい、すいませんねー』



どうせ無能なドブネズミですよー、と返したら鋭く睨まれた。
自分で自分を貶すような発言をしたらこれだ、お前達だって似たようなことを言うくせに。

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