羅刹の幻影は囁く part4

【128】 ページ14

横になっていた体を動かし、ソファに座る体制になるA。
パキパキと肩を動かし、首を伸ばす。


『明日の事考えたら戻った方がいい』

アン「ちょ、その状態で帰ってトラップ反応がきたら…」

『今日じゃないから大丈夫だ』

夏準「“今日じゃないから”？」




奇妙な事を言うAに首をかしげる夏準。
しまった、という表情をしたが、既に3人には聞こえていた為、顔を手で覆う。




『…………遅れるんだよ、トラップ反応』

アレン「え？」

『私のトラップ反応、遅効性でね。お前等と違って、使用してすぐに効果が出てこないんだ』

アン「効果が出てこないって…もしかして、それで今日来ないってこと？」

『そう。だから安心しろ』



よいしょっ、と立ち上がると、ぐーっと腕を伸ばす。




『あー、一先ず帰るよ。仕事は終わったし……ここの片づけ、任せていい？』

アレン「え…あ、あぁ。それは勿論」

『それじゃあメタルに関して何か支障があったら、連絡して』




パッパと自分の荷物を鞄に仕舞い、片づけを終えると鞄を背負った。




アン「本当に帰るの！？今終わったばっかなのに…せめてご飯でも」

『いいよ。リック事務所におきっぱだし。それに……』

夏準「それに？」

『……いや、何もないよ。それじゃあ、今日はお疲れ様〜』

アレン「あっ、おい！せめて送るって！」

『いいよ、バイクで来てるし』






またな、と言いリビングの扉を閉める。
ほどなくして玄関が開く音がしたのち、バイクの音がタワーマンションの前に響いた。

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