羅刹の幻影は囁く part4

【Phantasma】 ページ12

約1時間以上は経過したであるにも関わらず、Aの集中量は全く落ちていない。
それどころかより深く全身の神経を研ぎ澄ましていた。





同時に見ているだけの3人も飽きる様子はなく、食い入るように幻影と作業を行うAに魅入っていた。




3つのメタルを平等に磨いていき、フゥと深い息を吐く。

そして、3つのメタルを一列に並べ、自身のメタルを再び手に持つと、2回目のキスを落とした。





瞬間、今まで広がっていたオーロラのような幻影が歪み、煙霞のようなものへ変化する。

しかし、瞬きをする暇もなく、今度は明暗へ変化する佳夕の様に、緑色の木々を思わせる紫翠へ、色や雰囲気を変化させる。



次の瞬間、Aのメタルに反響するように3つのメタルからそれぞれの色を放つ。
やがてそれは鳥のような形へ姿を変える。







アレン「っ……(凄ぇ、綺麗…もっと近くで見たい、もっと近くで……)」





その誘惑に流されるように、アレンが手を動かしそうになった時、キィンッと工具とメタルがかすり、上がった金属音にハッと正気に戻る。




甲高い金属音に反応するように鳥の幻影はまるで生きているようにAの周りを飛び回るが、その幻影に目もくれず、静かにメタルを見つめていた。



だが、その視線が横に切られる。

スゥーと息を大きく吐き、自身のメタルを黒い巾着袋にいれ、最初に被せた黒い布を3つのメタルに被せた。





刹那、鳥の幻影が煙のように消え、光も途絶えスタンドライトの光のみがリビングの床を照らした。

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