羅刹の幻影は囁く part4

【DESIRE】21 ページ2

「俺は」とアレンは口を動かす。



アレン「メタルがなくたって音楽で勝負するつもりでいたんだ。でも、今の話を聞いて、やっぱり幻影も使ってやりたくなった。
同じHIP HOPヘッズとして、俺は正面からCozmezと勝負したい！

お前達のバックボーンを、感情を、全部っ…俺たちにぶつけてほしい！」




「俺たちも、お前達にそうしたいと思う」と言い、珂波汰の目をジッと見るアレン。

その目を見て、眩しいものを見るように珂波汰は顔をそらす。そして、頭を掻き、居心地が悪そうに「そういう所がアマちゃんなんだよっ」と吐き捨てる。




『純粋ピュアボーイに詰められて照れてる？あっ、アレンが眩し過ぎたとか？』
珂波汰「黙ってろ！ブ女！くそ…金持ちってのは皆こうなのかよ」




ガシガシッと頭を掻きむしる珂波汰。
「珂波汰」とアレンは彼の名を呼び、「俺からの頼みだ」と言葉を発した。




アレン「お互いが全力を出したうえで、お互いが思う最高のHIP HOPで、戦わせてほしい。
マイクを握るしかない俺たちだからこそ…………だから、頼む」



そう言い、手のひらを珂波汰の方に向ける。

ギュッとポケットにいれていたアレンのメタルを握り締め、視線を迷わせる珂波汰。
迷っている様子の兄に溜息を吐いた弟は、ポンッと肩に手を置いた。



那由汰「なぁ……もういいんじゃねぇか？」

夏準「どうなんですか？」




２人に言われて、チッと舌打し、「クソがっ」と悪態を吐くと、メタルをアレンに投げつけた。


ムスッとした表情からフッと口角を上げ、挑発的にアレンを見る珂波汰。その表情からは先ほどのような怒りはなく、闘争心が渦巻いている様に見える。




珂波汰「上等だ……ノッてやるよ、スザク。そのクソムカツク面、ステージ上でぶっ潰してやるから、覚悟しやがれ」

那由汰「まぁ、メタルがなきゃ俺たちに勝ち目なんてねーもんなぁ」

アン「ちょ、泥棒のくせに…なんで上から目線なんだよ！」

那由汰「んだよ、文句あんのかよ」



言い争いがまた勃発するかと思われたがその前に夏準が制止にかかる。



夏準「こちらの用事は済みました。家に戻りましょう。生憎…ゴミ置き場のような場所に長居する趣味はありません。あぁ、すいません…貴方たちはここが住処でしたね、失礼」

『うわっ、性格悪っ』



微笑みの貴公子の名、どこ言ったんだよと小言を吐くA。
それと同等に双子もフンッと鼻で笑った。

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