【DESIRE】6 ページ35
『いよいよSTAGE BATTLE目前だけど…どう？』
珂波汰「俺と那由汰の音楽が、あんなボンボンに負けるわけねぇよ」
『ただのボンボンと言って侮るのはよくないと思うぞ。BAEもそこそこ人気あるし……特にアレンが作る曲もいいからな』
珂波汰「…………なんだよ、お前。あの赤髪と知り合いなのか」
今の会話から赤髪と出てくるのは…アレンだな。
『知り合い、ではあるな。アイツ、HIP HOPオタクみたいだから付き合わされたんだよ』
珂波汰「…………………んだよ、それ」
『ん？なに？』
珂波汰「っ…アイツ等のやってる音楽はままごとだ。俺らがやっている命がけのもんと訳が違う。言わせんなよ、クソブス」
『なんで苛々してんだ？』
珂波汰「血反吐を吐いて、地べたみて生きてきた俺らの音楽が……っ、陽の光浴びてきた連中なんかに負けるわけねぇ！！」
ドンッとカウンターに拳を叩きつける。
チラリと晴兄を見るけど、我関せずといった様子で調理を続けていた。
『…………生きてきた環境では、そうかもな』
珂波汰「わかってんじゃ『けど』っ…」
『それを理由にアイツ等の覚悟まで決める権利は、私にもお前にもない』
そう言うと、唇をワナワナと震わせて、キッと私を睨んだ。そのタイミングでテイクアウトの品が珂波汰の前に置かれた。
晴臣「ラーメンと餃子2つ、お待ち」
珂波汰「……っ」
乱暴にカウンターにお金を置き、袋をとると、店から出ていった。
『………間違ったこと、言ったかな』
晴臣「そういう割には、後悔してねぇな」
『まぁね』
食べかけだった餃子を口に放り込み、スープを飲み干す。
『ごちそうさま』
晴臣「もういいか」
『うん、ありがとう。今日は帰るよ』
立ち上がってポケットから財布を出そうとすると止められた。
晴臣「今日のは俺のお節介だからな、金は良い」
『いや、でも…』
晴臣「その代わり、また来い。無理する前にな」
『……わかった、ありがとう』
また来る、と言い店の扉を開ける。
来た時より陽の色は落ちていて、少し肌寒くなっていた。
晴臣「気を付けてな」
『うん、またね』
最後に晴兄に手を振り、扉を閉めた。
ポケットに入っていたリックを撫でながら、帰路につく。
さっきまでずっと眠っていたのに、満腹になったからか再び睡魔がきていた。
……今から戻って眠ったらよく眠れるだろう。
けど、どうか願わくば……何の夢も見ないで眠りたい。
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テルミヤコウジ(プロフ) - KARAKARA666_さん» ありがとうございます！これからも更新続けていきますので、よろしくお願いします！ (2022年1月9日 9時) (
レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
KARAKARA666_(プロフ) - 素敵な作品を作ってくださりありがとうございます。これからも楽しみにしています (2022年1月8日 2時) (レス) id: c4cee0671b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：テルミヤコウジ | 作成日時：2021年7月17日 23時
