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ASIDE
依織「しかし、1日目で派手にしたなぁ」
『暴力沙汰禁止なんでしょ?』
先ほど絡まれていた新人のキャバ嬢を控室に戻し、新しい制服に着替えていた。
といっても、濡れたのベストだけだったからいいけど。
依織「あのオッサン、風間組やって?」
『いんや、頭と組長知り合いだけど見たことない』
依織「雑魚か?」
『多分。それか名乗っているだけでしょう』
風間組のヤクザだとか言って色々言っていたけど、実際見たことなかったから、しゃがみ込んだ時にありのままを伝えてやった。
そうしたらアワアワしだして逃げ出そうとした始末、救いようがないなぁ。
依織「それにしたってビビってたやん、何いったん?」
『別に。ヤクザの名前語ったなら責任とれよと言ったんです。翠石組の事もよくわかってなかったみたいですし』
依織「ほぉ〜ん」
『始末はどうするんですか?』
依織「……ま、怪我人おらんかったし……出禁で済ませたるわ。風間組のおやっさんにはちゃーんと伝えとくけどな」
悪い人だ、そうしたらアイツの人生どうなるか分かったもんじゃないのに。
新しいベストを着用し、あとは蝶ネクタイだけだがさっき掴まれたせいでぐちゃぐちゃだな。面倒くさっ、と思いながら形を治す。
依織「んまぁ、Aちゃんに手ェ出してたら、俺が死ぬより恐ろしい目にあわせてたけどな」
気色の悪い事を言いながら、私の蝶ネクタイに手を伸ばし、それを私につけてくれた。
一々顔が近いのだが。
『アンタに始末されなくても、手出される程軟じゃない』
依織「ハハハッ、やろうな。ほい、完成」
ポンッと肩に手を置かれ、鏡の方を向けられる。
蝶ネクタイは確かに綺麗に整っていた。
『どうも。てか、近いです』
依織「冷たいなぁ、ほんまに」
『戻りますね、忙しそうでしたし』
依織「あ、ちょい待ち」
ホールの方からワイワイと人の声が聞こえる。さっきよりもオーダーが激しそうだ。
そりゃ、店の奢りと言われたら何でも頼むよな。
呼び止められ渋々と彼の方を見ると、襟首になにかつけられた。
『……なんですか』
依織「んー?内緒」
『は?何?』
依織「ほーら、鏡で確認せんと。いっといで」
何をつけられたか鏡で確認しようとしたが、グイッと背を押される。
急に機嫌がよくなった。
なんなんだ、いったいこの人は……。
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テルミヤコウジ(プロフ) - KARAKARA666_さん» ありがとうございます!これからも更新続けていきますので、よろしくお願いします! (2022年1月9日 9時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
KARAKARA666_(プロフ) - 素敵な作品を作ってくださりありがとうございます。これからも楽しみにしています (2022年1月8日 2時) (レス) id: c4cee0671b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テルミヤコウジ | 作成日時:2021年7月17日 23時