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そして私の隣に腰を下ろし、溜めていたトラックノートの1つを私に渡す。
ちゃっかりとコイツの手元には、先ほど私が渡したトラックノートが握られていた。
『……量が凄いな、これ全部一人で考えたのか』
アレン「あぁ。授業中とか、ライブ前とかライブ終わりとか、思いついたトラックをメモし続けてる」
『いや授業中は授業しろよ』
学生が何言ってんだ、と告げると「いいトラックが浮かんだからつい」、と言っている。
救いようがないHIP HOP馬鹿か。
1枚、1枚めくってみていくと、粗削りな部分だけど繊細なトラックだ。
音をつけなくてもアップテンポのリズムが身体に浸透していく。
……だが、これは使えないんだろうな。
『これ、BAE3人用じゃないから使えないんだろ』
アレン「え、なんでわかるんだ?」
『BAE寄りの音楽にしているけど…今まで曲にしてきたような革新的部分が弱い。音付けなくても、これじゃないって何となくわかる』
アレン「凄ぇな!そこまで見切ってんのか!確かにそれは、曲にはならなかった。いや、なっちゃだめなんだ。BAEがBAEらしい曲を、俺たちが進化できる曲を作らないと、音にしないと意味がないから」
ただHIP HOP馬鹿なのかと思ったけど、自分達の音楽に関しては曲げられないものがあるんだろうな。
………あぁ、やっぱり。
『似てるな』
アレン「え?」
『いや、何もない』
脳裏に浮かんだ懐かしい思い出を、瞼を閉ざすように封じ込めた。
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テルミヤコウジ(プロフ) - KARAKARA666_さん» ありがとうございます!これからも更新続けていきますので、よろしくお願いします! (2022年1月9日 9時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
KARAKARA666_(プロフ) - 素敵な作品を作ってくださりありがとうございます。これからも楽しみにしています (2022年1月8日 2時) (レス) id: c4cee0671b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:テルミヤコウジ | 作成日時:2021年7月17日 23時