【105】__cozmez SIDE ページ12
『昇進したいなら、諦めも肝心だよ? おじさん』
男「っ……強欲はいつか身を亡ぼすぞ」
『私が強欲だって言うなら、お前の上に言ったらどう?』
男「……………異常があればすぐに報告しろ」
早々に会話を切り上げると男は路地から立ち去って行った。
男の背中が完全に見えなくなり、長い溜息を吐き出したAは煙草を取り出す。
が、2人がいる方向を見て、それを収めた。
『いつまでみてんだよ』
珂波汰「げっ!?な、なんで…」
那由汰「……そりゃ、あんだけワチャワチャしてたら」
気付かれていた事に顔をゆがめる珂波汰と、当然かと言う顔をする那由汰。
やれやれとでもいう露骨な表情を浮かべながら、2人に近づくA。
珂波汰「い、いつから」
『追っかけてきた時から。気配分からないとでも思ったの?』
『隠れるの下手すぎだろ』、とダメ出しを貰い、何も言い返せない珂波汰。
トドメを刺すように『弱みでも握ろうとしたのか?』と指摘されギグッと体をこわばらせる珂波汰。図星で固まる珂波汰を見て、ハッと鼻で笑った。
『で?弱み握れたの?』
珂波汰「ぐっ………ううっ」
ニヤニヤとチェシャ猫のような笑みを浮かべるAに口をへの字に曲げる珂波汰。
ふと、黙り込んでいた那由汰が口を開いた。
那由汰「さっきの男、知り合い?」
『え?……あぁ、仕事仲間かな』
珂波汰「ケンカ、してただろ」
『相手と言い合うなんてよくある事だ。というか、コソコソせず堂々と見てればいいだろ』
珂波汰「それじゃ、意味ねぇだろ!」
『別にみられて困るような生活してないし……いいよ、ついてきなよ』
そう言い、背を向け歩き出すAに「は?」と声を漏らす珂波汰。
珂波汰「ついてこいって…」
『弱み握るんだろう?弱みって程じゃないけど、握らせてあげる』
珂波汰「いや、いらねぇよ!俺らは別に……て、あれ?那由汰?」
那由汰「珂波汰―、早く来いよー」
文句を言う自分と対照的に片割れは行く気満々でAの後を追いかけていた。
呆然としていた珂波汰だが、2人の姿が遠くなっていることに気付き、慌てて追いかけたのだった。
97人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
テルミヤコウジ(プロフ) - KARAKARA666_さん» ありがとうございます!これからも更新続けていきますので、よろしくお願いします! (2022年1月9日 9時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
KARAKARA666_(プロフ) - 素敵な作品を作ってくださりありがとうございます。これからも楽しみにしています (2022年1月8日 2時) (レス) id: c4cee0671b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:テルミヤコウジ | 作成日時:2021年7月17日 23時