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【DESIRE】1 ページ30

____ジリリリィッ





萬屋【虚空】に鳴り響くけたたましい固定電話の音。
店主であるAは両耳をふさぎ、ソファに寝転がっている。音に耐えるように身体を丸め、鳴りやむのを待つが一向に止む気配はない。


『……リ、ック……た、のむ』


事務机の上で電話の音をもろともせず、ナッツを頬張る小さな相棒にそういうが、とうの本人は知らぬ顔をしている。チンチラだから当たり前だが、小動物が電話に出られるはずがない。

寝ぼけながらそのことを自覚し、ノソリと起き上がる。
そして、ヨタヨタとした足取りで机に向かい、乱暴に受話器をとった。




『……はぃ、よろずや…ふわぁ……こくうです』


どう聞いても寝起き感満々のA。
今にもずり落ちそうな意識の中、受話器の奥にいる相手に用件を訪ねた。



だが、電話の主が何者か分かった瞬間、顔を洗った時の様に目が冴え事務椅子に座り込む。




『………え、あ、はい。わかり、ました…そのようにします』



忌々しそうに眉を寄せ、眉間の皺を指で慣らす。
嫌悪感を隠し切れない態度だが声にはそれを出さず、電話の主と接する。




『…BAEとcozmezに、ですか?接触はしましたが、それが何か?』



トントンッと早く電話を終わらせたい様子で机を小刻みに指でたたく。




『分かってます。えぇ、では…』



早々に会話を切り上げ、乱暴に受話器を戻す。
スゥーと息を深く吐くと、立ち上がり洗面台に向かい顔を洗う。



『…徹夜明けなのに、最悪』




鏡に映る自身の顔を撫で、その手で首の後ろをなぞった。
そんな飼い主の足元にリックがすり寄ってくる。そのリックを手で掬い上げ、柔らかな毛並みを撫でる。



『大丈夫だよ、リック。いつもの事だから』



電話中とは異なる優しい口調でそう言うと、再び事務椅子に背を預ける。
その時、今度は彼女のスマホから着信音が鳴る。

次から次へと、と吐き捨てながら『もしもし?』と苛立った様子で電話に出た。





?〈俺だが…何苛々してんだ?〉

『!…あ、あぁ……いや別に、なんでもないよ』

 



電話の男の声を聴いて、一瞬目を見開いたが先ほどの電話の主とは違う、落ち着いた対応で接している。



『それより、朝から何?仕込みの手伝いなら、今無理だよ。徹夜明けだし』
?〈んな事を連絡したんじゃ……て、お前、また徹夜なのか〉
『………いや、軽く、だよ(墓穴堀った)』




やらかした、という顔を浮かべ、言い訳を軽く吐く。

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テルミヤコウジ(プロフ) - KARAKARA666_さん» ありがとうございます!これからも更新続けていきますので、よろしくお願いします! (2022年1月9日 9時) (レス) id: 3b90083b4f (このIDを非表示/違反報告)
KARAKARA666_(プロフ) - 素敵な作品を作ってくださりありがとうございます。これからも楽しみにしています (2022年1月8日 2時) (レス) id: c4cee0671b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:テルミヤコウジ | 作成日時:2021年7月17日 23時

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