羅刹の幻影は囁く 第二章 part4

【RTL-opening show】26＿＿晴臣SIDE ページ17

最後の書類に目を通し、「ふぅ」と息を吐く。

【Road to Legend】開幕から申請書類などの確認作業が多かったが、本戦が始まってしまえばあとはアーティストたちの対決を見守るだけだ。ようやく一括りついた事案に肩の荷を下ろす。

散らばった書類をまとめ直し、かけていた眼鏡をはずした。


ふと目の前には寝息を立てるAの姿。
今日もスタッフと一緒にステージだけではなく会場を駆けまわっていたにも関わらず、書類仕事を手伝ってくれた。
その心労が溜まったんだろう、目の前で作業していたというのに起きる様子がない。



晴臣「A、ここで寝たら身体を痛める。ベッドで寝ろ」


肩を揺するが、『うぅ…ん』と寝息を溢すだけで一向に起きない。
一度寝たら中々起きない奴だったからな…仕方がない。

このままにしておくわけにもいかないので、身体を起こし持ち上げる。
標準の身長はある筈だが、やはり軽すぎる…。本人曰く太ったと言っていたが、本当に太っているのか？


『……っ』
晴臣「A？起きたか？なら……」
『っ………な、さぃ』
晴臣「……A？」


先ほどまで心地よさそうに眠っていたAの表情が一気に曇り始める。
冷や汗が浮かび、顔が青ざめ、ガクガクと体を震わせている。

その症状を前にした瞬間、抱え上げた身体を降ろし、震える頬に手を添える。

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