羅刹の幻影は囁く part2 (ページ48)

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ASIDE

善さんが依織さんの所へ赴いてから、ボーイに挨拶をしている年配の男性が来た。
指名はアン…て、ことはアンの太客かな。

テーブルに近寄り、灰皿を新しいものに交換し、氷を移し替える。

太客「見たことがないボーイさんだけど…初めての人？手際良いね」
『ありがとうございます』
太客「あれ？男の子…じゃないよね、女の子？」
アン「新人君だよ。女の子の衣装は苦手だから、ボーイさんやってるんだよ。ね～？」
『…アハハ、まぁ』

そういう事にしてくれたら助かる。実際、あんなきわどいドレス着こなせる自信ないし。

太客「随分と若い子だね、アンちゃんと同じくらいじゃないか？」

アン「そーいえば、いくつか聞いてなかった。いくつ？」

『今年で20になりました』

アン「え、僕と同い年じゃん～」

太客「若いのに偉いねぇ。よし、新人君の初仕事祝いと、アンちゃんに捧げるってことで、ドンペリいれちゃおうかな！」

アン「きゃー！やった！」

……アン関係なくないか？と出そうになった言葉を飲み込み、お礼だけ言っておいた。
しかし、アン…凄いな。さっきから何人もの客に対して、ドンペリいかせてる。
流石、NO,1。

お客の注意が私からアンに移った間に、席を離れる。