【93】＿＿善SIDE ページ47
『失礼します。アイスペールの氷、代えさせていただきます』
『お客様、そろそろキャストをチェンジさせて頂きますね』
『スーツ、お預かりいたします』
善「………お、驚いたな」
『何がですか？』
一応初めてな事もあるので、遠くで見守ってはいたが、本当に初めてかと思う位テキパキとしている。むしろ、最近雇ったバイトの子の方が動きがもたついている。
善「いや、接客業は初めてではないがキャバクラは初めてだというから」
『まぁ……でも基本的に相手をするのはキャバのお姉さんたちですし、自分たちは邪魔にならないようにフォローするだけ、ですよね』
居酒屋よりは気を使いますけどね、という彼女は持っていたフルーツの盛り合わせを3番卓の方へ持って行った。
お客さんの反応も、特に問題はなさそうだし…やっぱり器用な子だな。
『あ、そのシャンパングラス、汚れてますから違うものと変えてください』
ボーイ「あ、はい！」
他のボーイとの連携も悪くなさそうだ。
玲央「善兄〜」
善「ん？どうしたんだい、玲央君」
玲央「なんかアニキがすぐきてくれって」
善「若が？わかった、すぐ行くと伝えてくれ。…A君！」
オーダーを取りに行っていたA君を一度呼び戻す。
『はい？』
善「私はこれから若の所へ行ってくる。もしかしたら遅くなるかもしれないが……いなくても大丈夫、そうだね」
『まぁ、大方慣れましたんで』
善「そうか。まぁ何かわからなかったら、他のボーイたちに聞いてくれ。あと、問題が起きた場合…」
『すぐ黒服の人を呼ぶ、それで対応できなきゃ…お二人をお呼びすればいいんでしょう？』
私が言い切る前に先ほど教えたばかりの事を言ってくれる。
さ、流石だな…若のお知り合いながら感心してしまう。
善「それじゃあよろしく頼むよ」
常駐のボーイ数名にも声をかけ、ホールの方を後にした。
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作者名：テルミヤコウジ | 作成日時：2021年6月29日 19時
