【89】 ページ43
「善兄のケチー」と文句を言う玲央に対してまた母親モードとなり言い聞かせている善。
その様子を見て、子沢山も大変だなと他人事のように考えているA。
そうしている間に、扉前に到着したが、背後ではまだワチャワチャしていたので、一応ノックした後に扉を開けた。
依織「おー、遅かった…て、なんや騒がしいなぁ」
思った以上に賑やかなメンバーに目を丸くして、ケラケラと楽しそうに笑う依織。
「すいません」、と申し訳なさそうにする善を横目に、依織に近づくA。
『……なぁ、あの3人メンバーだって？』
依織「おう、俺の大切な家族やで」
『それはいいけど……あの2人、ガキだろ。メタル使いこなせるんですか？』
依織「騒がしいけど、結構やるねんんで、2人とも。なんや心配なん？やっぱ子供にも甘い……て、痛い、痛い、革靴で下駄踏むなちゅーねん」
余計な事を言った依織の駄下駄に向かって、革靴で踏みつけるA。
そんな2人のやり取りをみて「またか」と頭を抱える善と、唖然と見ている3人。
北斎「兄貴、その子と知り合い？」
依織「ってて…。おぉ、長い知り合いやで」
玲央「え、じゃあ若の彼女！？」
紗月「えぇ！？」
『違う！』
玲央の言葉に紗月が声を上げるが、それとほぼ同時に否定したA。
あまりの速さに隣にいた依織が思わず「早っ」という言葉が漏れた。
依織「そない否定から入らんでもえぇやん、俺らの仲やろ？」
『何の仲ですか。つーか、肩に手を回すな、折りますよ』
依織「おぉ、怖い、怖い」
善「若、お戯れは程々に」
何や冷たいなぁ、とぼやきながら善に言われるがままAから離れる。
依織「紗月、玲央、北斎。月夢Aちゃんや。ボーイの仕事は初めてやけど、今まで裏方で作業してもらったことはあるくらい、大先輩さんやで。今日からちょっと間やけど、仕事してくれる事になったから、色々教えたってな」
「「「はーい／おっす／うん」」」
3人それぞれ依織に返事を返す。
A自身も邪険にする気はなく、『よろしく』と控えめに会釈をした。
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作者名：テルミヤコウジ | 作成日時：2021年6月29日 19時
