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ASIDE
西門「…な、なんだかすまない」
『……いえ、こちらこそ』
私の指でワチャワチャと遊んでいるリックを見てから、四季が抱えている黒猫を見る。
その背後では神林匋平が棗リュウを説教していた。
最初は黒猫がリックを追いかけていたが……なぜか途中からは形勢逆転して、リックが黒猫を追いかけまわしているという謎の構図が出来上がった。
リックに尻尾をかじられた黒猫は四季の所に飛びついたところで、西門がやってきたが光景を見て呆気にとられてたが……そりゃそうなるだろ。
『逆に尻尾は大丈夫なのか？』
四季「あ、それは…大丈夫です。とくに、痕とかも無いので」
西門「しかし…チンチラに追いかけられる黒猫という構図もまた、珍しいというか…」
神林「普通逆だろ、逆」
『まぁ…リックは元々野良なので』
1年ちょっと前に、路地裏でボロボロの所を拾ったけど、その頃から野良犬や野良猫を敵と言うよりも遊び相手と認識していた。その為、今回のおいかけっこもリックにしてみればお遊びだったんだろう。
小さいながらも中々に逞しい。流石相棒だ。
『……あの、とりあえずハンコ貰っていいですか』
西門「あ、あぁ。すまない」
はい、という一言と共におされたハンコ。
近くにある机にダンボールを置き、中身を確認してもらう。
西門「…うん、全部あるね」
『それじゃあ、自分はこれで……て、こら！』
もう絡まれないうちに帰ろうとしたが、私の意向と反してリックが飛び出した。
そして、黒猫を抱える四季の足元へ擦りつく。
黒猫はリックを警戒した様子で、シャーッと鳴いている。
だから、普通逆なんだよ、君ら。
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作者名：テルミヤコウジ | 作成日時：2021年6月29日 19時
