羅刹の幻影は囁く part17

【LIVE AFTER STORY】1 ページ22

NO SIDE



場所は代わり、閉店した雷麺亭。

カランと氷が解ける音が店内に響く。溶け出た氷と酒を軽く混ぜるためにグラスをカラカラと回る晴臣は隣にいる智生の言葉に耳を傾けていた。


智生「いやぁ、20歳かぁ……かわいくなったよなぁ」
晴臣「馬鹿いえ、アイツはいつでもかわいい」
智生「…ほんとっ、シスコンは相変わらずだな」


ちょっと引くぞ、と言いながら既に引き気味な智生に「煩ぇ」と愚痴る。


智生「あんまり構い過ぎると嫌われちゃうぞ？」
晴臣「お前みたいにか」
智生「俺は嫌われてねぇよ！むしろ好かれてただろ！」
晴臣「目腐ったな」
智生「ひ、酷ぇ…」


ムゥと頬を軽く膨らませ、上目遣いで睨む。色男のあどけない姿を何も知らない女性たちが見たら顔を赤らめるだろうが、長年一緒にいる相棒は冷徹な目で「キメェ」と呟いた。大して気にせず「酷いな」とまた笑う智生。



？「あの子に限って、貴方を嫌いになるという事はありませんよ」


2人静かに会話する背後から、声がかかる。目を見開き振り返る晴臣とは違い、智生は緩やかにそちらを振り返った。



？「修羅サンがシスコンなら、アイツはブラコンだからな」
？「貴方とは違って、ブラコンであるとは認めないでしょうが」



ハハッ、フフッと異なる笑みを浮かべる男2人。
その正体に「お前等…」と声を漏らす晴臣。驚く晴臣をしり目に、智生を見た2人はゆっくりと頭を下げた。

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