羅刹の幻影は囁く part14

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『…熱でもあるの？』
アレン「い、いや…そ、そんなこと」



顔を覗き込むと、パッと逸らされた。
なんだか腹立たしい態度でもあるし、どこかデジャヴ感が強いのはなぜだろう。
悟りたい気持ちは山々だが、気づくなという危険信号が鳴っている気がする。
藪をつついて蛇が出るのは嫌だから、放っておくか。


アン「Aは買い物？」
『…まぁ』
夏準「まぁって、曖昧な返事ですね」


プレゼント用とか言ったら面倒臭い事になるにきまってる。
そのことだけはバレないようにしたいのだが、ふとアレンが視線を私が先ほどまで入っていたフロアの方にやり、「もしかしてあれか？」と指さしながら訪ねる。

あれって？と聞きながら指し示られた方を見ると、感謝の日ののぼりがかかっている。
こういうときはどうして目敏いんだ、こいつ。



アン「感謝の日ってことは…プレゼント？」
『…まあ』
夏準「どこぞの男にやるんですか？」
『男限定かよ。男だけど』
アレン「えっ、男なのか！？」
『なに、悪いの？』
アレン「い、いや…悪くはないけど………」


モジモジしながら何かを聞きたそうにしているアレン。その隣で天女の笑みを浮かべる夏準が「どこぞの男に感謝を告げるんですか？」と問いてくる。
なんで私が喋らなきゃいけないんだと思いながら、ジッとその笑みを睨んでやった。

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