羅刹の幻影は囁く part14

【354】＿＿cozmez ページ12

那由汰「めっちゃくちゃ、バンダナあるなー」
珂波汰「だな…。でも、結構いい柄があるじゃねぇか。これとか今日買った奴にあうんじゃねぇの？」
那由汰「ほんとだ、色もおんなじ。これも買っちゃう？」
珂波汰「そうだ……って、値段高っ？！」
　

気に入ったバンダナについている値札を見て思わず声を上げる。
「え？」とキョトンとした那由汰も同様に覗き込み、「高っ！？」と同じ反応をした。先ほど購入した服たちを大幅に上回る値段を見て、引き攣った顔を浮かべる。


那由汰「ただの布切れに、なんでこんな金かかるんだ？」
珂波汰「これ、本当に買う奴いるのかよ…。まぁ、デザインはいいのは認めるけど」


「布だろ？」とぼやきながら、店内を見る。
店長らしき男がカウンターの所で座って新聞を読んでいる。2人の会話が聞こえているのか、いないのか、無反応のままだ。
その様子にチッと舌打ちをし、「どうする」と那由汰に尋ねる。


うーんと悩んだ那由汰だが、「やめとこ」といい、それに同調した珂波汰は歩き出す。
そろそろ仕事の時間だから帰るかと言おうとした時、再び那由汰が「あっ」と声を漏らした。


珂波汰「今度はなんだよ」
那由汰「姉ちゃん」
珂波汰「え！？」



那由汰の口から出た名前にギョッとしてその方向を見ると、前方にある雑貨屋に足を止め、商品を食い入るように見ているAがいた。

【355】→←【353】＿＿cozmez

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す