羅刹の幻影は囁く part12

【Exhibition】8 ページ10

ジッと自身が花を添えた墓石の1つを眺め、『そっか』と小さな声で呟いた。
小首をかしげる西門を見上げ、フッと控えめに笑う。


『…………もしかして、化けて出たかもしれませんよ』
西門「えっ…そ、そうだとしたら失礼な事を言ってないかな」
『祟られてたらいいお祓いをご紹介しますよ』
西門「うーん、できれば遠慮したいものだが」


真剣に悩みだす西門に強張った表情をふっと緩め、『冗談です』と言う。


『そういえばさっきお宅の相棒さんにパシられましたよ』

西門「匋平に？」

『リュウがライムとレモンを使い切ったからって、いきなり電話して用件だけ伝えて切るっていう失礼極まりない依頼の仕方でしたね』

西門「あいつ…それは失礼した」

『別にいいですよ。代わりに足を蹴ってやったので』

西門「お店での乱闘はお控え頂きたいな」


互いにそれぞれの目的の墓石にもう一度手を合わせ立ち上がり、歩き出した。


西門「匋平の不始末のお詫びに何か出そうか？軽いお昼なら作れるよ」
『いえ、遠慮しておきます。またプリプリ起こるマスターさんと顔合わせないといけないので』
西門「ああいう所も意外と可愛い所があるんだよ」
『しかめっ面やめたらの話ですよ、それ』



互いに笑いながら会話に花を咲かせ、2人は墓所を後にした。

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